【協会メンバーインタビュー】「保険代理店発だからこそできるIFA業務とは?ライフプランニングを軸に広げる資産形成支援」ブロードマインド 大西さん
協会会員の皆さまに、協会加入のきっかけやメリットなどをお話しいただきます。
今回ご登場いただくのは、日本金融商品仲介業協会の正会員であるブロードマインドさんです。保険代理店としてスタートし、早い時期からIFA事業にも参入してきた同社は、現在は保険と資産運用の両面からライフプランニングを支援しています。
保険代理店がIFAに取り組む意義や協会に参加することのメリット、そしてこれからのIFAに求められる役割について、取締役の大西新吾さんにお話を伺いました。
――ブロードマインドさんは、どのようなサービスに力を入れていらっしゃいますか。
大西さん(以下敬称略):私たちが特に重視しているのは、「ゴールベース」でお客様の人生設計を考えることです。老後資金だけでなく、住宅購入、教育費、セカンドライフなど、お客様が実現したいことを起点としてライフプランを作成し、そのうえで保険や資産運用を提案しています。
一般的な資産運用の提案では「年何%で運用しましょう」という話になりがちですが、私たちはまず、「何のためにお金を準備するのか」を大切にしています。これは保険代理店がもともと得意としてきたライフプランニングの考え方であり、IFAとの親和性が非常に高いと感じています。
――新しいライフプランツールの開発にも取り組まれているそうですね。
大西:はい、現在、ライフプランシミュレーションツール「マネパス」の機能強化を進めています。システムから弊社で作成しており、他の会社様にもご利用いただけるツールです。わかりやすいグラフも取り入れ、どなたにもわかりやすいインターフェースを心がけています。オンライン面談でも活用しやすいと、ご好評をいただいています。
将来的にはAIも搭載し、お客様の情報を入力すると、必要な保障や資産形成の方向性などを自動的に提案できる仕組みを目指しています。
ただ、私たちが目指すのは、「AIでFPを置き換える」ことではありません。お客様へのご提案の精度を高め、経験がまだ豊富でないFPでもお客様にゴールベースの提案がしっかりできるように支援することです。お客様と一緒にライフプランを確認しながら、「ここを実現できるように、備えと資産形成を考えてみましょう」などと自然に会話が広がるようなツールにしたいと考えています。
――職場の雰囲気についても教えてください。
大西:弊社は若手社員が多く、教え合う文化が根付いていると感じます。新卒入社が多く、金融業界として初めての職場であるケースも多いため、教育部で基礎からしっかり学び、その後も先輩がオンライン面談などでサポートする体制が整っています。
お客様との面談の大半はオンラインですので、先輩と画面を共有しながら提案方法やツールの使い方を学ぶことは、実際の現場に活かしやすいようです。社員同士の距離も近く、部活動や社内イベントなども活発ですね。
――保険代理店がIFAに参入するメリットは、どのように感じていらっしゃいますか。
大西:大きなメリットは三つあると感じます。
一つ目は、すでにお客様との接点があることです。
政府は「資産所得倍増プラン」に続いて、2040年までに家計の金融資産に占めるリスク資産(株式・投資信託・債券)の割合を現在の約23%から40%へ引き上げる目標を掲げています。一方、日本では保険に加入している方は多いものの、資産運用をしていない方もまだ多くいらっしゃいます。
通常、証券会社やIFAは資産運用に興味のあるお客様との接点を一からつくる必要がありますが、保険代理店にはすでにお客様との信頼関係があります。保険の見直しやライフイベントの相談をきっかけに、資産形成についても自然にご提案できることは、大きな強みだと思います。
二つ目は、ライフプランニングのノウハウを生かせることです。
証券会社では「老後資金を準備するために何%で運用しましょう」という提案になることもありますが、保険代理店はもともと、お客様の収入や支出、教育費、住宅ローン、年金などを丁寧にヒアリングし、ライフプランを作成する文化があります。
そのライフプランを土台に資産運用をご提案する「ゴールベースアプローチ」は、保険代理店の皆さまが得意とする分野であり、IFA業務とも非常に親和性が高いと感じています。
三つ目は、資産運用に対して過度に身構える必要はないことです。
保険代理店の方から、「投資信託について詳しい質問を受けたら答えられるだろうか」という不安の声を聞くことがあります。しかし実際には、資産形成を始めたいというお客様からの基本的な相談が中心です。
個別株の値動きや相場予測のような専門的なことが気になる方は、証券会社などに相談されるか、ご自分でネットで調べる方が多いでしょう。それに対し、IFAには「資産形成をどう始めればいいか」といった基礎的なご相談が多い印象です。
変額保険について説明できる方であれば、投資信託の基本的な仕組みや長期・積立・分散投資の考え方をお伝えすることは十分可能だと思います。必要以上に難しく考える必要はないのではと感じます。
――これからIFA参入を考えている保険代理店の方へ、アドバイスをお願いします。
大西:「医療保険だけ入りたい」「がん保険だけ相談したい」というお客様は以前より減ってきています。「新NISAと変額保険はどちらがいいですか」「資産運用も含めて相談したい」といった、より一歩踏み込んだご質問をいただく機会が増えました。
お客様からは、「保険だけの専門家」ではなく、「お金全般の相談相手」と認識いただいていると感じます。だからこそ、保険だけでなく資産運用についても基本的な知識を身につけることは、期待に応えるうえでも大きな意味があるのではないでしょうか。
一方で、証券業務には保険業務以上にコンプライアンスやガバナンスが求められます。証券会社では、保険会社のように手取り足取り教えてくれるとは限らないため、自ら学び、責任を持って業務を進める姿勢も必要だと感じます。
もちろん、その分ハードルはありますが、それはお客様の大切な資産を預かる仕事だからこそ当然ともいえます。必要な体制を整えながら取り組むことで、お客様への提案の幅は大きく広がりますし、結果として保険のご提案にもつながる場面が増えると感じています。
――ブロードマインドさんは、日本金融商品仲介業協会の正会員でいらっしゃいます。入会してよかったことはありますか。
大西:はい、特によかったと感じることは、他社の取り組みを知ることができた点ですね。
普段は証券会社との情報交換はありますが、同じIFA同士で情報交換できる機会は多くありません。協会では、他社の取り組みや業界動向、海外視察の報告など、普段は得られない情報に触れることができ、大変参考になっています。
また、横のつながりができることで、「他社ではこういう提案をしている」「こんな課題がある」といった実践的な情報交換ができることも魅力です。例えば、管理口座メインの法人やIFA手数料を採用している法人など、弊社とは異なるビジネスモデルのIFAから具体的なお話を伺うことによって、事業方針を立てていくうえで非常に勉強になりました。
――今後、協会やIFA業界に期待することを教えてください。
大西:IFAという存在を、もっと多くの方に知っていただきたいと思います。
資産運用への関心は高まっていますが、「IFA」という言葉自体は、まだ十分に浸透していないのではないでしょうか。協会を中心に、業界全体で正しい情報発信を続け、IFAの役割や価値を伝えていくことが大切だと思います。
――最後に、今後の展望について教えてください。
大西:インフレや円安、年金への不安など、お金を取り巻く環境は大きく変わっています。一方で、日本では資産運用に踏み出している方はまだ一部で、「興味はあるけれど、何から始めればよいかわからない」という方も少なくありません。
私たちはIFAとして、富裕層だけを支援する存在ではなく、これから資産形成を始めたい方や、お金について気軽に相談したい方にも寄り添える存在でありたいと考えています。銀行や証券会社だけでは十分にアプローチしにくい方々に対しても、ライフプランをもとに、一人ひとりに合った資産形成をご提案し、その第一歩を後押しすることが、IFAの大きな役割ではないでしょうか。
また、資産運用をより身近なものにしていくためには、IFAという存在そのものの認知度を高めていくことも重要です。業界全体でコンプライアンスやガバナンスを徹底し、一人でも多くの方がお金の不安を減らし、自分らしい人生設計を描けるよう、その伴走役でありたいと思っています。



