年頭所感を掲載いたしました。

 

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。一般社団法人 日本金融商品仲介業協会(FA協会)理事長の中桐啓貴でございます。
旧年中、会員の皆様には多大なるご協力とご支援を賜りましたこと、心より厚く御礼申し上げます。また、各種セミナーや研修、カンファレンスにて貴重な知見をご共有いただいた皆様、そして協会の運営を支えてくださった関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。

当協会もお陰様で今月末をもって発足7年目を迎えます。2025年12月末現在、正会員数は40社となり、本年中には50社近くに達することが予想される規模まで成長いたしました。所属するアドバイザー数も2,194名に達しております。

昨年は、私たちの目指すべき姿を言語化した「ベストプラクティス」を公表し、業界の指針を明確に示すことができました。また、金融庁後援のもとで開催したカンファレンスは過去最多の参加者を記録し、私たちの活動に対する社会的な期待の高まりを実感しております。

本年は、このベストプラクティスを「絵に描いた餅」にすることなく、会員同士で具体的な成功事例を積極的に共有することで、私たち独自の「真の顧客本位」をさらに深く追求してまいる所存です。

現在の日本経済を俯瞰しますと、大きな歴史的転換点にあります。日本人の現預金比率が18年ぶりに50%を割り込んだことは、その象徴といえるでしょう。最大の要因は「インフレ」です。「資産運用をしなければ、現金の価値が目減りしていく」という認識が国民の間に醸成され始めました。また企業側も、資本コストを上回るリターンが厳格に求められる時代となり、日本全体がリスクを前向きに捉える姿勢へと劇的に変化しています。

組織論における「2:6:2の法則」になぞらえれば、これまではリスクを許容できる上位2割の人々が投資の主役でした。しかし今、リスクを好まないが資産を守らざるを得ない「中間層の6割」の方々の行動が変わり始めています。投資未経験の彼らが相談相手を探すとき、最後に選ぶのは、単なるテクニックの提供者ではなく、確固たるパーパス(存在意義)を持ったアドバイザーに他なりません。

顧客本位を突き詰めたとき、私たちの役割は極めて明確です。

「顧客とその家族の人生のゴール(目標、悩み、課題)を包括的かつ継続的に聞き続け、その解決に向けて先取的な提案を行い、ゴール実現まで寄り添い伴走し続けること」

このパーパスを深く理解し、実践し続けるアドバイザーこそが、これからの日本において最も信頼される存在になると確信しております。

新春のスタートとして、1月の定例会は名古屋で開催いたします。吉永理事からは「米国FAのキャリアパスと報酬体系」について、また可児理事のファシリテートによる地元の精鋭IFAによるパネルディスカッションを予定しております。

本年も、協会活動を通じて得られる刺激を自社の変革の糧としていただき、会員間で切磋琢磨しながら、業界全体のさらなる高みを目指していきましょう。 本年も変わらぬご協力、ご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 日本金融商品仲介業協会 理事長
中桐 啓貴