【協会メンバーインタビュー】「IFAとの直接の接点で見えてきた金融情報の価値と課題、協会活動の意義とは」アセットマネジメントOne老沼さん
協会会員の皆さまに、協会加入のきっかけやメリットなどをお話しいただきました。
今回ご登場いただくのは、日本金融商品仲介業協会の法人賛助会員であるアセットマネジメントOneさんです。日本を代表する運用会社として、国内外で幅広く資産運用サービスを提供しています。協会を通じてこれまで接点が少なかったIFA事業者と直接意見交換できることを大きなメリットと感じているそうです。
協会活動を通じて感じた学びや課題、今後の展望について、リテール&ウェルスソリューション本部 リテール営業部チーム長の老沼さんにお話を伺いました。
――アセットマネジメントOneさんは、日系運用会社として業界最大手の一角でいらっしゃいますね。
老沼さん(以下敬称略):はい、弊社は「投資のちからで、みらいを育む」をコーポレートメッセージに掲げ、投資を通じて中長期の資産形成を支える取り組みを行っております。
投資家のみなさまからお預かりした資金を企業に供給し、企業の健全でサステナブルな成長を促すことで、豊かな社会の実現を目指しています。金融を社会にとっての重要なインフラと捉え、金融を通じた社会貢献をミッションとしています。
プロ向けの高度な運用ニーズにも応えられる体制を整える一方、個人投資家向けのビジネスにも注力しています。リテール分野では、投資家ニーズに沿った公募投資信託の育成に力を入れており、2028年を次の目標に、残高ベースで3,000億円を超える規模の公募投信を10本程度育てていきたいと考えています。
――「たわらノーロードシリーズ」は、個人投資家の間で人気のファンドの一つですね。
老沼:はい。「たわらノーロードシリーズ」は、低コストで分かりやすいパッシブ(インデックス)ファンドとして、個人投資家の方々に長年親しまれてきています。NISAの普及も追い風となって、さらに注目をいただいております。
一方で、最近は個人投資家のニーズが多様化してきて、特定の投資テーマへの関心も高まっています。そこで、「ノーロード・フォーカスシリーズ」を強化しており、2025年11月には防衛・航空宇宙といったテーマ型ファンドを新たに設定するなど、今後もラインナップの拡充を進めていく予定です。
さらに、アクティブファンドの提供も行っています。投資信託市場では、海外株式へのニーズが強く、日本株ファンドの取引量は全体の5〜10%程度にとどまっています。こうした状況を踏まえ、「未来の世界シリーズ」に代表されるグローバル株式ファンドや米国成長株ファンド、さらには暗号資産関連株など、幅広いニーズに応える商品ラインナップを展開しています。
社会的意義の観点からは、日本のマザーマーケットである国内資産、特に国内株式・国内債券を重視した運用も大切にしています。個人投資家の投資環境は以前と比べてアクセスしやすくなっており、こうした環境を通じて、個人に適切な投資機会を届けていくことが重要だと考えています。
サイト「未来をはぐくむ研究所」では、投資家の金融リテラシー向上のために、運用会社として、特定の商品にひもづかない形で投資啓発の目的で情報発信をしております。
国内市場が活性化しなければ、企業の成長期待や経済全体のマインドも高まりません。日系運用会社として、金融を通じて国内市場を支え、投資の受け皿を提供していくことは、弊社にとって非常に重要なミッションであるととらえています。
――日本金融商品仲介業協会に入会されたきっかけについて、教えてください。
老沼:弊社は、日本金融商品仲介業協会の発足当初から法人賛助会員として参加しています。協会設立時に、発起人で現理事長のGAIA中桐さんや楽天の楠社長から立ち上げの趣旨を伺い、弊社も注目していたIFAビジネスの将来性に大きな可能性を感じました。その考えに共感し、入会することを決めました。
入会後は、これまで接点を持ちにくかったIFA事業者の方々と直接つながる機会が増えた点が、特に大きなメリットだと感じています。運用会社は販売会社の本部とのやり取りが中心になりがちですが、協会を通じたイベントや勉強会では、実際に現場で販売にたずさわる方々との意見交換ができ、大変貴重な機会となっています。
また、協会を通じて弊社商品の取り扱いに関するお問い合わせや、勉強会・セミナーのご依頼をいただく機会も増え、結果として弊社のビジネスにもプラスの効果を感じています。IFAの方々は商品理解が深く、どのポイントを評価して選んでいただいているのかを直接伺えることで、普段はなかなか得られない有意義なコミュニケーションの場となっています。
――実際に協会でさまざまな方と交流するなかで、新たに気づいたことはありますか。
老沼:近年、金融業界では情報提供の手段が、紙ベースだけでなく、動画などのライトなコンテンツへと広がっています。弊社でもここ1~2年で動画や簡易的なコンテンツを作成・提供する機会が大きく増えてきました。
協会での交流を通じて、投資家に近い立場から「どの情報が伝わりにくいのか」「何が重視されていのか」といった具体的なフィードバックが得られる点は非常に大きいと感じています。
IFAとしての実務経験に基づく率直なご意見やネガティブな声を含めたフィードバックが、より現実に即した、伝わりやすい資料やコンテンツづくりにつながっています。
――今後、協会と共にどのような方向を目指していきたいですか。
老沼:自分たちだけで考えていると視点が偏りがちで、アンケートなどで確認することにも限界があります。よりリアルな声を反映できる仕組みや、双方向で意見交換できる場が増えていくことを期待しています。こうした取り組みは、最終的に受益者への還元につながると感じます。
また、勉強会やセミナーにも引き続き関心があります。利益相反の問題や今後の販売の在り方、債券の販売方法の変化などは、販売現場に近い立場でなければ得られない、いわば「内側の情報」も多く、現場の声こそが最もリアリティのある学びだと考えています。
今後は、金融業界への異業種参入もさらに進むでしょう。Webやネットワーク上で完結するビジネスが増える中、IT分野など新たなプレイヤーが加わることも想定されます。こうした動きを業界全体で柔軟に受け止め、進化していくことが重要だと考えます。
さらに、セキュリティトークン(Security Token:ブロックチェーン技術を使って発行される「証券のデジタル版」)など、新しい仕組みの社会実装が進めば、運用会社が取り扱う商品は株式や投資信託に限らず、不動産など多様化していく可能性があります。こうした分野の事業者とも連携し、投資家の利便向上につながる形で協会と協力することで、金融業界全体と受益者がより良い方向に発展していけると期待しています。



